薪ストーブの使い方と仕組み
 【ゆいの薪】



 

  薪ストーブの使い方

ここでは、バーモンドキャスティング社製「アンコール」で説明します。
ロングセラー機種として人気を博した薪ストーブです。



薪棚 薪運搬バック
 

薪ストーブの焚き付けは、初めに左の大きなレバーが奥側に押されているか、右の小さなレバー(空気調整レバー)が手前に引かれているかを確認してください。(操作不足の場合、煙が逆流します)


薪ストーブダンパー 薪ストーブ空気調整レバー
 

着火剤を木屑の上に置き、その上に木くずと細薪を隙間を空けて交互に積み上げて着火。火の勢いを見ながら細薪から中薪へと少しずつ焚べてゆきます。
動画のように焚き始めは、正面扉を開けて薪を焚べますが、火の勢いが上がる頃(温度計で50℃目安)正面扉を閉めます。
その後は、手袋を装着しストーブ上扉から手前の2本柱より奥に薪を追加します。

 
温度計
 

 

250℃~300℃に達する前に火力が弱くなるようでしたら、39cm薪をストーブ上扉から2、3本追加します。そして温度が250℃~300℃に到達する頃、左奥のレバーを手前に引き、二次燃焼モードへ切り替えます。

 
温度計
 

 

この薪ストーブの適正温度は、250℃~350℃です。細めの薪を一気に入れすぎると温度が急上昇します。温度計を見ながら300℃前後になるように薪を追加します。(一時的な温度上昇は大丈夫です)

温度の急上昇があっても電化製品のような停止スイッチはありません。また水で消すこともできませんので、その際には左のレバー(バイパスダンパー)が手前に引かれているかを確認してから、右のレバー(空気調整レバー)を手前に引いてください。

 
薪ストーブ説明書1 薪ストーブ説明書2
 

  薪の補充の仕方

安定燃焼300℃前後で二次燃焼状態が維持された後、薪が燃え尽きると次第に温度が低下してきます。温度計で200℃前後を目安に薪を補充します。
左奥のレバーが手前(二次燃焼状態)のまま、上扉を開けると排気が逆流してきます。

操作手順は、まず左奥のレバー(バイパスダンパー)を奥へ押し、排気が直接煙突に流れるようにします。

 
薪ストーブダンパー
 

上扉を開けて、火ばさみで炭火を軽くたたき広げます。その際には手袋装着・火傷に注意してください。
ウッドデッキから46cmの薪棚から太薪を2本運び、静かに炭火の上に焚べ、上扉を閉めます。
右側のレバー(空気調整レバー)を手前いっぱいに引きます。

 
薪ストーブ空気調整レバー
 

炭火から薪に火が移り、温度が上昇、温度計で250℃~300℃に達する頃、左奥のレバー(バイパスダンパー)を手前へ引き、二次燃焼へ移行します。

これで完了です。温度計でが300℃前後を維持していることを確認してください。
以上、上記の繰り返しとなります。

 
薪ストーブ説明書3
 
 

  「アンコール」の歴史

バーモンドキャスティング社製「アンコール」は1990年以来のロングセラー機種として人気を博しています。
煙を触媒で再度燃焼させる二次燃焼機能が備わったことだけでなく、そのサイズ・空気流入効率などが最適で、乾燥した太薪を使い空気吸入調整をすれば、翌朝まで火種が残り、細薪を焚べるだけで薪に火がふわっと着火することもアンコールの優れた面です。

 
薪ストーブ説明書4

 
 

  薪ストーブの機能と特徴

ここでは薪ストーブの燃焼の流れを説明。かなり細かな仕掛けとなっています。
薪ストーブ後方の取入口から入った空気は側面の炉壁の間を通って正面ガラスの上に導かれます。そしてカラス面を伝い下ってから煙突への排気される仕組みです。つまりガラス面に煤が付かない機能でもあり、この流れが一時燃焼空気制御システム。

温度が上がり過ぎたり、火力が落ちたりするするとバイメタルコイル(温度計裏側のコイルのようなもの)が自動的に空気を調整する機能もあります。と言ってもデジタル式に反応するものでなく、緩和的に機能します。

そして二次燃焼空気制御システム。薪ストーブ左手のバイパスダンパーレバーを手前に引くことでカラス面を伝い降りた空気が煙突に流れるルートを塞ぎます。そうすると空気は、その下あるスロートフードから取り込まれキャタリティックコンバスター(触媒)ハチの巣状のセラミックボックスを通って煙突に向かいますが、ここでもバイメタルコイルが燃焼温度を感知して空気口の開閉調整を行います。このシステムによって煙に含まれるクレオソートや煤等の90%を浄化することでクリーンな排気と燃焼効率を向上させています。

 
薪ストーブ説明書5 薪ストーブ説明書6
 
 

  薪について

伐採したての木の水分は樹種にもよりますが約50%。この水分が20%以下になると「薪」として使うことが出来ます。そのためには1年から3年の乾燥期間が必要で、燃え方の悪い薪の原因は単純で乾燥していないからです。
木の種類によっても薪ストーブ向き・不向きがあり、杉のような軟木は燃え初めは良いが長持ちせずに炭火ができません。一方でナラのような堅木は中身が詰まっていて質量があるため、しっかりとした炭火ができ、火力が強いことが特徴です。

 
薪ストーブ説明書7
 
 

  ドラフト管理

ドラフト管理とは、薪ストーブを使うにあたって知っておくべきことです。
薪ストーブはどのような仕組みで燃えているか。単に焚き火のように燃やせば良いということでなく、気球をイメージしてもらうと解りやすいと思います。風船の中に暖まった空気を溜めると上昇してゆきます。薪ストーブも炉内を暖めると空気は上昇し、煙突へと向かいます。その暖まった空気の温度を下げると上昇気流が弱まり、再び温度を上げると上昇気流が強まります。つまり如何に空気の温度を下げず、煙突の外まで排気できるかがドラフト管理のポイントとなります。

 

煙突の素材がサンタさんが入ってくるような石の煙突の場合、石は暖まりにくいため、かなり温度を上げなくてはなりません。そのため太い薪か、丸太ごと焚くような仕様となっています。また金属製の煙突であっても薄い煙突(シングル煙突)では外気で煙突が冷まされ上昇気流が抑制されてしまいます。そのため屋根付近から外部の煙突には冷めにくい、二重煙突が使われるのです。

 
薪ストーブ説明書8

 

薪ストーブの設置には、煙突排気部が外気流の流れで妨げられないように「屋根からの煙突の高さ」「煙突の太さ」「室内のストーブ設置位置」「煙突の曲がり具合」等、より暖かく薪ストーブを焚くことが出来るようにあらゆる配慮がなされています。それらが上手くいかない場合には、煤が煙突内に溜り排気が妨げられ、燃焼(上昇気流)が抑えられ、暖かくならず、空気の逆流による炉内で揮発性ガスの発生、煤が燃える煙道火災が発生するに至ります。


 
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つまりは、薪ストーブの効果を最大に引き出すも・出さないも、薪ストーブを扱う人による部分が大きい超アナログな暖房器具と言えるでしょう。

 
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